「でも大丈夫?」

「へ? 何が?」

「『星が観たい』ってことは、夜までいるってことだけど」



ピタッと足が止まる。


夜まで、って。え、もしかして……。



「俺は明莉が泊まっても別にいいけど、明莉の家族が心配するかなって」

「詩恩は平気なの……?」

「平気。健も何度か泊まりに来たことあるし」



歩き出した彼の後を追う。

いや、私が聞きたいのはそういうことじゃなくて。



「私、女だけど大丈夫なの……?」



腕をそっと掴んで引き止めた。



「何の心配してるの? そもそも自分から言い出したんじゃん」

「そうだけど……」



私は単に、友達と花火するみたいな感覚で言っただけで、星空観察も日帰り前提で話していた。

時間帯が遅いほうがよく見えそうだけど、さすがに泊まるとなると……。



「あぁ、大丈夫。明莉が想像してるようなことは起きないから」

「……っ!」



フフフッと笑い出した詩恩にカーッと顔が熱くなる。

言い返そうとしたその時、ポツポツと雨が降ってきた。