side紅



実戦大会が終わって数週間。
まだ夏という程暑くはないが春というには暑い、何とも言えない季節がやってきた。

…いや!暑い!


「うぅ…」


外で暑い日差しを受けながら1人、四神屋敷の裏にある小さな森のような場所を歩く。
本日は休日。今日はどうしても1人で行きたい場所があったので、今はそこへ向かって歩いていた。

朝、今日の予定を朱に聞かれて答えると「僕も行く!絶対兄さんと行く!一緒に居たい!」と何故か駄々をこねられた。

朱を説得するのに大分時間がかかったが、結局、今夜は片時も離れないこと、今夜の私の世話は全て朱がすること、という条件を私が飲んだことによって何とか朱を説得することができた。
…何で私の世話を焼きたいのかはよくわからないが。


『神様ぁ』


1人で歩くだけなのは暇なのでどうせならと神様に声をかけてみる。
すると…


『どうされたのですか?紅』


といつもの優しい声が私の頭の中に響いた。
よかった。今は私と話ができるようだ。


『…あのさ。2度目を始めて2ヶ月くらいになるけど世界はどんな感じなの?世界滅亡阻止できそう?』

『なるほど。そうですねぇ。少しずつ変化はありますね。アナタも前回との違いを何点か気づいているのでは?』

『まぁ、ね』


神様に言われ、前回と今回の世界の違いについて改めて考える。

まず変わらない点は私と言う肩書きだ。
私は今も変わらず、次期当主だし、守護者最有力候補の1人だし、今日までの成績なども全て前回と同じものだと思われる。

次は変わっている点。
変わっている点は私の周りの人達だ。
前回の朱も今の時点ではよく甘えて来ていたがそれ以上に今の方が甘えてくる。琥珀も武も私を気にかける様子をよく見せるし、蒼も謎に絡んでくることが多かった。