放課後。

待ちに待った放課後。


私は、それまでずっと、神崎くんの視線に耐えていた。

数学の授業中も。

掃除の時間も。

帰りのホームルームも。

神崎くんの視線は私に向いたまま。


性格のわりに顔はいい神崎くんのせいで、クラスメイトの女子にものすごく睨まれた。

友達を作る! と意気込んでいたのに。

神崎くんの視線のせいで、友達なんて出来なかった。



……早く帰ろう。


鞄を持って席を立とうとした私。

それは彼によって阻止された。

私の腕を掴んでいる神崎くん。

その顔には笑みを浮かべていて。



「な、なんでしょう……?」

「帰ろ」



うん。

帰るよ?

帰りたいから、その手を離して?


そう願っていると。