夜になり、あたしはキッチンヘと移動して来ていた。


テーブルの上にはカレーとサラダが並んでいる。


あたしは何事もないかのように自分の席に座り、膝の上にスマホを置いた。


食事中にスマホをイジることは厳禁とされているので、見つからないようにしないといけない。


「さぁ、食べよう」


父親がいつも用にそう言い、食事が始まる。


あたしは微かに緊張していてスプーンを持つ手が震えてしまった。


しかし、両親はそれに気が付かない。


父親の仕事の話や、株価の話なんかをしている。


あたしは右手でスプーンを持ったまま、そっと左手をスマホへと移動した。


そして、アプリをタップする。


普段は流れない音楽が食卓に流れたことで、一瞬両親は怪訝な表情をこちらへ向けた。


しかし、それもすぐになくなりジッとあたしの方を見つめはじめた。