「シャワー浴びてくるといい。
泣きすぎて酷い顔だぞ？」

今日は土曜、会社は休みだ。
渡瀬課長のマンションは2LＤKで、あまり物がなくて生活感がない部屋だ。

不躾にキョロキョロする私に苦笑いしなから

「安心しろ。何にもでてこないから。
横浜から引っ越してきて女は誰も入れたことないよ。
あすか…一緒に住むか？
いいよ、部屋空いてるし。」

間近に迫る課長の笑顔に不覚にもドキドキしながら、つめられた距離から間をあけようと後ずさる。

「逃げるなよ。」

壁際に追い詰められて、逃げ場のない私を背の高い課長は見下ろしながら端正な顔を近づけてくる。

朝目覚めてから何度目のキスだろう。

顔を背けて避けることが何故かできない。

真っ直ぐな課長の瞳に見つめられると、動くことができないし、温かな唇をいつまでも感じていたかった。

甘くてとろけるような優しいキスは、課長の私への愛情が十分に感じられた。