入社してすぐに、私に仕事を教えてくれていた四つ年上の先輩に告白された。

秘かに憧れていた棚橋亮二(たなはしりょうじ)の告白に一人喜び、恋人同士になったが私たちの関係は誰も知らない。

「まわりにわかると仕事やりづらくなるからさ」

そんな彼の言葉に納得して、社内恋愛ってそういうものなんだな、と私たちの交際はまわりに知られることもなく三年、結婚も近いかな…なんて秘かに期待していたら彼は海外転勤を命じられた。

仕事を辞めてついていく決心はついていた。

でも彼が私の右手薬指に指輪をはめていった言葉は、私の期待していた言葉と少し違っていた。