「じゃあ、ブラッド。今日から学校が始まるから私はこれで行くけど、レオンハルトのおもてなし頼んだよ」

「あ〜……はいはい。気をつけて行って来いよ」
 
新聞を片手に淹れてもらった紅茶を軽くすすりながら、俺はぶっきら棒にそう返した。
 
ただ用事があって来るだけなのに、おもてなしする必要も何もないだろ……。

そう思いながら目を細めて、俺は新聞の表記事を見下ろした。
 
表記事に書かれた内容を目で追いながら俺は表情をキツくする。

そこには道化師に関係する記事が大きく取り上げられていた。
 
【テロ組織――道化師。魔法協会へ宣戦布告か?!】と言う見出しでだ。
 
三ヶ月前の事件をきっかけに、魔法協会は道化師を正式なテロ組織として声明を出した。
 
【神の洗礼】によって罪のない大勢の人たちを虐殺しようとし、それを俺とレオンハルトたちは食い止めた。
 
そのおかげでこの街が地図から消える事もなかったし、大勢の人が死ぬ事も防ぐ事が出来たが、あの事件を最後に俺はあいつらの姿を見ていない。
 
事件のほとぼりが冷めるまで動く気がないのか、それとも負った傷が完治するまで暫くじっとしているのか……、なんにしろ現状あいつらに関する情報は一つも掴んでいない。
 
それに俺とレオンハルトはあの事件をきっかけにしばらくの間、魔法協会の管理下に置かれていた。
 
どうして道化師がテロを起こす事が分かっていたのか、首謀者であるクラウンの居場所がどうして分かったのかなど、あいつらが納得するまで俺とレオンハルトは順を追って説明を行った。

当然、あいつらは直ぐに納得しなかった。

だから俺と関わりのあるギルや、レオンハルトの上司であるルヴィナスも呼ばれ、魔法協会は俺やレオンハルトと関係のある者たちを洗いざらい全て調べ上げた。