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「あ。瑠花さん、お久しぶりです。……って、あれ?夕立さんは?」
「俺たちと一緒に来てた女子と、2人で出ていったよ」
椿くんがキョトンとした顔で尋ねると、私の代わりに国吉くんが答えた。
椿くんは、え?と一瞬首をかしげてみせたけど、誤魔化すように笑ってみせた。
「そうなんですか……。ああ、そういや兄ちゃんが、煙草切れたから買ってこいって夕立さんに頼んでたな」
「泉くんて、今忙しいの?」
「んー。昨日の夜からずっとパソコンに向かってて。あの人1回集中するとなかなかやめないから、夕立さんが色々と世話焼いてくれるんです。寝ないし、ご飯も食べないし……」
そんな会話をしながら、角部屋に案内された。
高級そうな黒ソファが向かい合って置かれている。
「僕も手伝いたいけど、あいにく情報系には疎くて。買い出しに行こうにも、さすがに14歳に煙草は売ってくれないし……」
その辺の規制はちゃんと存在することに、少し安心しつつ
やっぱり響平たちのことが頭から離れない。
ケータイ小説 野いちご
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