逃げられない。
身体が震えるーーーー。

「何?
怯えてんの、可愛い〜。

つか、2年前も可愛かったけど、また可愛くなった?
なあ、また抱いてやろうか?」


ーーーードクンッ。

やだ、触らないで。

「大丈夫だって、今度は優しくめちゃくちゃにしてやるから。

二人っきりになれる場所行こう?」


肩に組まれた手。

嫌だ、触らないで。


あの日、と同じ大きな手。

この手で、あたしはーーーー。




「離してよ!!」

思い切り振り下ろした手は、簡単に捉われて壁に抑え込まれた両手。


動かないーーーー。
なんで?

あたし、頑張って強くなろうってーーーー



「なんか、動き武道習ってるっぽいけどーー無理だわな。
俺、紅牙の総長よ?
んな、女に負けるわけねーじゃん。

女はさあーーーーいい子で俺に抱かれてればいいんだよっ!!」


ビクッーー!!

大声で怒鳴れて、こみ上げる涙は頰を通過した。
それを、ペロリ、と舐めるそいつに鳥肌。