「こんばんは、瀬奈ちゃん」



急な、挨拶。


帰ってきて早々投げ掛けられたその声に、びくりと身体が震える。


(大丈夫、この人は違う)


頭では違うと分かっているのに。


彼が、“お父さん”ではないと分かっているのに。


つい先程、自分で自分に気合を入れたはずなのに。


(っ、おかしい、な…)


それなのに、身体の震えが止まらない。


本当は、彼と会うのを少し楽しみに帰ってきたはずだったのに。



「…こん、ばんは……」


私-南 瀬奈(みなみ せな)-は、俯いていた顔を上げて声を絞り出した。


そこには、優しそうな笑みを浮かべた“キムさん”と、お母さんが居た。


「っ……」



「初めまして。今度から、君のお義父さんになります」


まだ、私は何も言っていないのに。


“キムさん”は笑顔で私に向かってそう言ってきた。





何故、こんな事になったのか。


そう。


こうなったわけは、昨日の夜まで遡る。