通話を終えたスマホ片手にリビングに戻ると、相馬一人になっていた。


「あ、おかえりー晃くん」


「……相馬、それやめて」


「お菓子食べるの? 名前で呼ぶの?」


「……名前。さゆは?」


「あちら」


相馬が示したのはキッチンの方。


さゆにエプロンのひもを結んでもらってニコニコしていた琴が、俺が見るなり睨んで来た。


……なに始める気だ?


「さゆー」


「あ、巽はなんて?」


「今日は昼で部活終わるって言ってたから、それ終わったら来ると思う」


「不在着信?」


「ん。なんか作んの?」


「晃は立ち入り禁止!」


「……俺、どっちで呼べばいいの? 三科? 琴?」


「琴も雪村って呼べばよかったね! 三科って呼んで!」