あの日のほのぼのさは嘘のようだった。
次の日から教えてもらうことになったが、思った以上にスパルタ特訓で、王子様お手製のプリントを数枚解かされる羽目に。
だけど王子様の頑張りを知ったら、それに応えることしか私にはできなかったので、文句は言わなかった。
それに教え方も丁寧でわかりやすくて、理数系が苦手な自分が一瞬「私、実は理数系じゃないか?」と真剣に考えてしまうほどだ。
そして、再テストまであと2日を迎えた。
「……」
休み時間も無駄にしたくはなくて、必死に物理の公式を頭に叩きつけて、
化学反応についてまとめたノートを寝る間を惜しんで見ていた。
いくらやっても"まだ足りない"と思う自分がいて、もう容量を超えていた。
だけど、それでも頑張ろうって思えるのは歩夢のおかげで。
初めてまともに話せる人だからちょっと気分が浮いているのかもしれない。
それでも歩夢に何か返したくて、今必死に頑張っている訳だ。