あなたと出会った日は夕焼けが綺麗だった。



グラウンドの部活で精を出す人、慌ただしく働く委員の人、生徒のために向き合っている先生たち。


その中で私はひとり、放課後の教室で数学の宿題を取り組んでいた時のことだった。



──分からないところがある。



一応巻末には答えだけは載ってるが、それだけじゃどう解けばいいのか分からない。


そして、肝心の解説は存在しない。



つまり、わからないところは先生か友達に聞いてみるしかない。



だけど、私は世でいう"ぼっち"。


分からないところを気軽に聞ける友達はいなかった。



5月の爽やかな風が吹くこの時期。


最初は新しい学校生活に不安や緊張があったが慣れてきたのだろう、今ではそんな雰囲気は一切ない。