「結凛!」


お祭り騒ぎの中、賑わう店。


「俺も手伝う」


「本当?助かるわ!」


急遽、卓などを取り寄せる騒ぎだから、何事かと思ったが―……まさか、ここまで騒ぎになるとは。


途絶えることの無い客足に走り回る、面々。


「大丈夫か?麟」


「わ、私は大丈夫です!鈴華たちは……」


「大丈夫よ、姉様」


器用に動き回るちびっこ達は、お客様に愛嬌たっぷりの笑顔で対応する。


昼時のせいか、客は絶え間なくやってきて……朝まで、仕舞い切れなかった材料が昼時を過ぎる時には尽きてしまい、忙しさを目立たせた。


「あー、疲れたよ」


どっかりと椅子に腰をかけて、大きなため息をついた結凛の両親。


「本当ね……こんなこと、初めてだわ」


結凛もまた、産後とはいえど、体力は完全に戻った訳では無いので、息が上がっていて。


「私、患者さんを見てきます」


「あ、俺も行くよ。麟」


「そんな、祥基さんは休んでおかないと―……」


「この騒ぎだから、揉め事も起こりやすい。それに、そんなに疲れていないから大丈夫だよ」


一方で、元気の良い麟麗は診察所に向かおうとして、祥基に止められた。