ケータイ小説 野いちご

独占欲高めな社長に捕獲されました

3 社長は、強引に私の腕をつかむ


 悪役社長が実家に降臨してから、すでに一週間が経過してしまった。

「おばあちゃん、ごめんね。今週は行けそうにないや」

 自宅で画集を開きながら電話をした土曜日。会員制高級ホテルでのきらびやかなディナーが夢だったかのよう。私はヘアバンドで邪魔な前髪をカバーし、食事の時間も惜しんでスルメを齧っていた。

『いいのよ。私も覚悟は決めておくから。くれぐれも無理しないでね』

「覚悟決めちゃダメ。私がなんとかするから」

 のんびりした口調のおばあちゃんに多少イライラする。私が誰のために必死になっていると思っているのよ。

 そんなこと思っちゃいけない。例の絵を探すことは、私が勝手に決めたこと。そう思いながら、おばあちゃんにももっと必死になってほしいと望んでしまう。

「ちなみに、東京の高級ホテルでカフェをやる気はないよね?」

『え? なに突拍子もないこと言っているの?』

「ごめん、いいの。気にしないで」

 いきいきと仕事の話をする西明寺社長の顔を頭の中から追い出しながら、電話を切った。

「ふう……」



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