二



 昼休み。

 ご飯を食べ終わった私は教室を飛びだし、キラリと光るものをもった人がいないか辺りに目を配らせながら校舎を散策していた。

「吉川」
「……部長!」

 ――演劇部三年、相川(あいかわ)部長。

「もうご飯食べた?」
「はい! 部長は?」
「これから食堂に向かうところ」
「お疲れ様です!」
「吉川もね」
「……へ?」
「疲れた顔してる。ちゃんと寝てる?」

 そこに立っているだけで目を引く黒髪美人の部長が私を覗き込んできた。

「っ、寝てます……よ?」
「だったらいいんだけどさ」

 なんの前触れもなく接近してきたと思ったら、じゃあね、と手を降り行ってしまった。

「カッ……コイイ!!」

 背が高く、男性役もそつなくこなしてきたお方である。

 去年この高校の学祭にお邪魔して、素晴らしい演技力の持ち主だとこの目でハッキリと目の当たりにした。

 そんな相川部長が引退される日もそう遠くないのだから、できるものならスターが欲しいところではあるが。

 贅沢は言っていられない。

 お願いです。

 神様仏様。

 どうか演劇部に興味を持ってくれる人が、現れますように!

「部長の千里眼おそるべし」

 寝不足だったこと、あっさり見抜かれてしまった。

 ちょっと休憩しようかな。

 裏庭を通過しかけ、足を止める。

 ちょうどそこにベンチがあるのでひと休みして、それからまた部員探しを続けよう。

(……ん?)

 ベンチ裏の、木陰に。

「え? えぇ!?」

 人間の足のようなものが、見えた。

 ――誰か、倒れてる

 慌てて駆け寄り確認する。

 そこにいたのは――