……と意気込んだは言いものの。
「わー!お嬢様!何をしてるんですか!」
「え!?私ただ焼いただけ…って!何でこんな焦げてるの!?」
「お嬢様!火!火が付いたままです!」
「え!どこ!?」
「ちょ…お嬢様!?こぼれてます!」
「えぇ!?」
どうやら私に料理のセンスは皆無だったらしい。
あれから5ヶ月。
アンに習って練習に練習を積んできたものの、未だに包丁すら持たせてもらえない。
せいぜい鍋の様子を見たり材料を混ぜたりするくらいだ。
それだけでも毎回毎回失敗するんだから、そろそろ自分の料理の下手さに才能を感じる程だ。
「うーん…どうやらお嬢様にまだ料理は早いようですねー…」
「そ、そうよ!私まだ8歳ですもん!」
「で、ですよね!まだ8歳ですものね!」
ほんとうは自分でもわかっている。
流石に8歳でもハンバーグをこねることくらいできる。
しかも私は見た目は8歳だが中身は16歳。
まぁ前世でも女子力皆無に等しかったし。
別に落ち込んでなんかないし。
まだ私はこれから成長するし!
「「……………………」」
「お、お嬢様!料理いったん置いといて!
栽培をやってみましょうか!
何か好きな植物とか花とかはありますか?」
「そ、そうね…
……唐辛子とか?」
「と…唐辛子、ですか?」
「ええ!
私唐辛子を育ててみたいわ!」
「お嬢様って辛いもの苦手では?」
「…え?そうだったけ?」
「「……………」」
「ま、まあ、とりあえずやってみましょうか!」
「そうね!」
なんかもう、アルトアの設定に合わせるのがめんどくさい。
アルトアがどんなにマカロンが好きで唐辛子が嫌いでも私は唐辛子が好きだし甘いものは全て深海に沈んでほしいと思う。
それでいいんだよ!
私は私らしく生きていこう!
私がまほありの中でのアルトア・オルアレンの性格を放棄した瞬間だった。