じー。


「咲桜(さお)?」
 

じー。


「咲桜―?」
 

目線の途中に、にゅっと親友の顔が現れた。


「わっ? あ、うん。どした?」
 

何回も名前を呼ばれていたようだ。しびれを切らした親友の顔がどアップになって、私の意識は現実に引き戻された。


「神宮先生がどうかしたの? そんな睨んで」


「!」
 

ビクッと、大袈裟に肩が跳ねてしまった。


その、名前、今、厳禁! 私はしどろもどろで逃げ場を探す。


「い、いや~……ちょっと考えごとを? ね」
 

と、明らかに挙動不審で視線を彷徨わせる私を見て、首を傾げる小学校来の親友。