向かった先は死者である真理さんの自宅だった。


真理さんの親族にはすでに許可を取ってあるようで、骨も用意もできているとのことだった。


真理さんの家は駅から歩いて10分ほどの場所にある、閑静な住宅街の一軒家だった。


大きなガレージには高級車が2台とまっていて、その横には立派な門がそびえたっている。


柚木さんは大きな家を見上げて「ひぇ~」と声を上げていた。


拓也さんがチャイムを押して玄関を開けてもらうと、中から出て来たのは母親とおぼしき女性だった。


疲れた顔をしているが、髪の毛や服装はキチンとしていて、清楚な印象だ。


「お義母さん、この方が蘇らせ屋の松谷さん。で、こちらが――」


「柚木ホームズと申します」


柚木さんが一歩前へ出てそう言った。


どうしても人より前に出たいらしい。


今日も変装しているからいいけれど、本当に自分の立場をわきまえてほしい。