お昼になり、僕と加賀くんは食堂に向かった。

「愛菜ちゃんはお弁当作んないの?」

「いや、愛菜は…」


ーーーーーーーーーーー

結婚してから初めて出勤する前日…

「あ、あの!
恭也さん!」

「なんだ、愛菜?」

「私、お料理が…その…」

もじもじする愛菜。
とても恥ずかしそうだった。

「なんだ。怒らないからはっきり言ってみろ。」

「えっと、ごめんなさい!!」

勢いよく頭を下げ謝る愛菜。
僕はなぜ謝ってるのか分からなかった。

「私、お料理上手にできないから
お弁当できません!!」

それだけでここまでくる頭を下げるかと
理解に苦しんだ。

「あ、愛菜。大丈夫だよ。
お昼は買ったり、社食があるから
上手になったら作ってくれるか?」

「はいっ!」

顔を上げた愛菜は満面の笑みだった。
キッチンへスキップで向かっていた。

「あーよかった!
恭也さんが痩せてしまうと思って焦ったわ!」


…愛菜…

今はコンビ二や自販機などがあるんだぞ。
また、理解に苦しんだ。


ーーーーーーーーーー

「と、まぁ、こういうことを言われてな。」

「なるほどねー
愛菜ちゃん、お料理できないんだー」


「「可愛いなぁー」」

僕と加賀くんは2人してにやけていた。