小春ちゃんの家はあたしが思っていた通りの、あのお屋敷だった。


隣街に大きなお屋敷がある事は知っていたし、電車の窓からそのお屋敷を見たこともあった。


けれどそのお屋敷の中に自分が入る日が来るなんて思ってもいなかった。


観音開きの玄関ドアは自動になっていて、小春ちゃんがノブに指をあてると指紋を認識して開いていた。


中に入ると広いエントランスがあり、外国の家と同様土足のまま入るようになっていた。


「足、疲れたでしょ? よかったらスリッパを使ってね」


階段を上がる手前でスリッパを差し出されて、それに履き替えた。


エントランスの中央にそびえるように立っているらせん階段。


その階段は自分の家の階段の倍ほど大きくて、目が回ってしまいそうになる。


2階へ上がり切ると多くの部屋のドアが待ち構えていた。


まるでホテルみたいだ。