一番最初に手首を切ったのは正解だった。


小瓶の半分ほどを自分の血で埋めたことも、土下座をしたこともみんなの心を動かす事に繋がった。


土下座は少し演技クサかったかもしれないと思ったけれど、女子たちの心を動かすためにはそのくらいことは必要だと思ったんだ。


男子たちに比べて女子たちの傷口は浅く、血が出にくいようだった。


けれど、切った腕を圧迫したり刺激を与えたりしてなんとか全員分の血液が集まった。


この工程がクリアできれば後は何の問題もない。


この血液を乃愛の口に含ませ、朝まで蘇りのウタを歌えばいいだけだ。


そう思うと、安堵感からほほ笑んでいた。


もう少しだ。


明日の朝には乃愛は蘇っているんだ。


俺は喜びで表情を緩めながら小瓶を片手に乃愛へと近づいた。