「会長代行。パソコン検定受験者リストです」

昼休み後。

パソコン教室、教務課事務員がファイルを差し出した。

「ありがとう。理解力のバラつきはどうなっている?」

「合格ボーダーラインの受講者には、補充授業を受けてもらっています。遅れが著しい受講者には個々に特別補習を行っています」

「なるほど、リストを分けてあるな」

ファイルしたリストのページにひと通り、目を通して「時間を作って、顔を出してみる」と告げた。

「はい、お願いします」

「西村先生と梅川先生はどうですか?」

「頑張っておられますが、検定合格レベルには厳しいようです」

「お2方(ふたかた)ともご高齢だから」

「そうですね」

「そもそも検定など、眼中にはないのかもしれない。原稿さえ打てれば良いのだから」

「パソコンを習われる前は、会長代行が先生方の原稿をタイピングされていたんですよね」