気が付けば、投票時間まで残り5分になっていた。


真奈美はまだ戻ってこない。


「このまま戻ってこないつもりかな」


梨央が呟く。


「そんな……」


投票結果がわかっていても、戻ってきて投票に参加すれば逃げ切ることができるかもしれないのだ。


あたしに死ぬつもりがないのと同じで、真奈美だって全力で逃げてくれると思っていた。


「真奈美……」


すでに投票を終えているあたしは教室の外へ出ても大丈夫なはずだ。


そう思って席を立った。


その時、廊下に人影が見えた。


「真奈美!」


あたしは慌てて真奈美へ駆け寄ろうとする。


が、真奈美の手にはカッターナイフが握られていて、刃はこちらへ向いていた。