───結局、今日も私はコートに足を運ぶ。





「染谷.....!!」





「...っ皐月.......」





皐月の私を呼ぶ声が衣月に似ていて、ビクッと肩が揺れた。





.....ほんとに心臓飛び出るかと思った。





絶対心拍数上がったよ今!!!





「よかった...。もう、来てくれないかと思った」





弱々しく笑った皐月を見て、泣きそうになる。





「...ごめんね。」





「いや、来てくれたからいいよ!それに、別に来ないといけないわけじゃねぇしな!」





皐月は眉を八の字にして笑った。





「皐月.....」





“出来るだけ毎日来るよ”





私の繋ごうとした言葉は、掻き消された。





「皐月ー!!今日は父さんが帰ってくるから行くなって言ったろー!」





「...っあ、兄貴!」





「え...っ!?」





兄貴って、い、衣月のことだよね!?





「おい皐月!...って、なんでお前がいんだよ。」





声のトーンが低くなった衣月。





そんなに私のこと嫌い?





私がバスケを辞めたことがそんなに気に食わない?





でもさ、仕方ないじゃん。





────もう出来ないんだから。