男の子がギターを引き終わるとじっと私の方を見た。


「あっ、ごめんなさい。勝手に歌っちゃって。」


謝ると男の子はギターを首から取って私の前に立った。


「プロとかじゃないよね?」


「えっ!?プロ!?んなわけないよ!」


「・・・・・そっか。ふふっ、あー、俺いいもん見つけたわー!」


突然笑い出した男の子にびっくりして、思わず後ずさりした。


「俺、黒江魁音(くろえ かいと)。高校2年。」


自己紹介されたから私も答える。


「早坂雫。高校2年。」


「なんだ!同じなんじゃん!」


見た目とは違って私よりも笑顔の魁音君。


全身黒だから怖い人じゃないかって思ったけど、全然違った。


「それで、雫はここで何してんの?」


いきなり呼び捨てかよ!!


「・・・・別に。ちょっと歩いてただけ。」


「ふーん。こんな寒い日にリュックにいっぱい荷物入れて?」


「う、うん。そうだよ。」


「てっきり家出かと思ったわー!びっくりした!」


家出だけどね・・・・・・・・