「あれは妖異の残滓(ざんし)だな」 廊下から病室の中を窺ったという白桜の話に、真紅は首をかしげた。 海雨のもとを訪れた真紅は現在、白桜と架と、病院から帰る途中だった。 「ざんし?」 「うん。今、梨実海雨に妖異が取り憑いているわけではない」 「ほんとっ? じゃあ――」 「話は最後まで聞くものだ、真紅」 勢い込んだ真紅を、白桜は言葉一つで制する。 真紅は顎を引いた。