戸崎の怪我は、順調に回復に向かっていた。

まだ走ることは出来ないようだが、歩けるようにはなって。

ほっとすると同時に、やっかいでもあった。






「あんた、絶対迎えに来ないでよ」



念を押すあたしに、



「仕方ねぇな。

それなら絶対家に来いよ」



戸崎は嫌そうに言う。

こんな調子であたしは毎日仕事後に戸崎の家に通った。




戸崎に会えるのはすごく嬉しい。

五年間、戸崎がいなくて生活出来たなと思うほど、戸崎はあたしの生活の一部分になりつつあった。