side怜桜 初めは怖いと思った。 ただただ紗久が目を覚まさないことを。 次に紗久が目を覚ました時、それは奇跡のように尊いものだと感じ、泣きそうになった。 ごく当たり前のことなのに。 今でも紗久が目を覚まし、笑っていること、怒っていること、泣いていること、何より目の前で動いていること。 これが心のどこかで奇跡の瞬間に思えてしまいしょうがない。