生家など、憶えてはいなかった。
 

空地になったその前に立って、流夜はやはり、特に思うことがない自分に嫌気が差した。
 

未解決事件の現場。


一軒の家があったらしいそこは、しかし残骸も残らず草原になっていた。


親戚が後片付けをしたのだろうか。


「うーん? 憶えてるわけもないか……」
 

ここに来たのは、初めてだった。


ひとまず生家に行ってみるか……と思い立ったものの、収穫ねえな、これは。


と切りをつけたとき、携帯電話がメッセージの着信を告げた。


「……ん?」
 

降渡から、ヘンな文面が届いていた。