男が校舎内へ消えても動き出す生徒は1人もいなかった。


旧校舎に取り付けられている大きな時計を確認すると、すでに10時近くになっていた。


「どうする……?」


誰かが小さな声でそう言った。


「どうもできねぇだろ」


誰かが返事をする。


その声に覇気はなく、昨日までと全く変わってしまった日常に誰もが混乱していた。


「でも、やらないと死ぬよね」


そう言ったのは杏珠だった。


杏珠はDチームだ。


いつものようにみゆも一緒だ。


「1時まで話し合って、どのチームを殺すのか選ぶってことか?」


そう言ったのは心太朗だった。


心太朗は険しい表情で杏珠を見ている。


「そ、そんなつもりで言ったんじゃ……」