校舎に電気が通っていない。
その事を痛感することになったのはやはり日が暮れてからだった。
予め用意されていた懐中電灯を使って移動はできるものの、古い建物だからとにかく怖い。
歩くたびにミシミシとキシム音。
トイレに入れば黄ばんだ汚れがあり、ライトで照らし出すとそれは余計に恐ろしいものになった。
「こんなに雰囲気あるんだからさぁ、夜は肝試しとかやらねぇ?」
それはクラスメートの井上心太朗(イノウエ シンタロウ)の一言から始まった。
友香たちの机の上にはさっき終わったばかりの課題プリントが置かれたままになっている。
今日はこれを提出して終わりのはずだったが、心太朗の言葉にみんなが顔をあげた。
まだ夜の8時で、眠気なんてほど遠い時間だったことと、8時だと言うのに街灯もない校舎は夜中のような暗闇が包み込んでいるということで、肝試しを思いつくのも自然な事だと感じた。
「いいね肝試し! みんなでやろう!」
賛成したのは心太朗と特に仲のいい久保冷(クボレイ)だった。
2人とも似たような体つきで、体格のいい体育会系の男子だった。
友香と美夏は互いに目を見交わせた。
怖いものはあまり得意ではない。
だけどクラスメートたちは肝試しという言葉にワッと盛り上がりを見せていて、ここで腰を折るわけにもいかなくなっていた。
「仕方ない、あたしたちは見学組ってことで……」
美夏はそう言い、友香の手を握ってそっと教室を後にしようとした。
「ちょっと2人とも、逃げるの?」
その威圧的な言葉に2人は動きを止め、振り向いた。
その事を痛感することになったのはやはり日が暮れてからだった。
予め用意されていた懐中電灯を使って移動はできるものの、古い建物だからとにかく怖い。
歩くたびにミシミシとキシム音。
トイレに入れば黄ばんだ汚れがあり、ライトで照らし出すとそれは余計に恐ろしいものになった。
「こんなに雰囲気あるんだからさぁ、夜は肝試しとかやらねぇ?」
それはクラスメートの井上心太朗(イノウエ シンタロウ)の一言から始まった。
友香たちの机の上にはさっき終わったばかりの課題プリントが置かれたままになっている。
今日はこれを提出して終わりのはずだったが、心太朗の言葉にみんなが顔をあげた。
まだ夜の8時で、眠気なんてほど遠い時間だったことと、8時だと言うのに街灯もない校舎は夜中のような暗闇が包み込んでいるということで、肝試しを思いつくのも自然な事だと感じた。
「いいね肝試し! みんなでやろう!」
賛成したのは心太朗と特に仲のいい久保冷(クボレイ)だった。
2人とも似たような体つきで、体格のいい体育会系の男子だった。
友香と美夏は互いに目を見交わせた。
怖いものはあまり得意ではない。
だけどクラスメートたちは肝試しという言葉にワッと盛り上がりを見せていて、ここで腰を折るわけにもいかなくなっていた。
「仕方ない、あたしたちは見学組ってことで……」
美夏はそう言い、友香の手を握ってそっと教室を後にしようとした。
「ちょっと2人とも、逃げるの?」
その威圧的な言葉に2人は動きを止め、振り向いた。