あたしは自分が作ったストラップを夏斗のスマホに付けて、学校へ来ていた。


教室内での夏斗の立場はごく普通の一般生徒だった。


イジメっ子でも、イジメられっ子でもない。


真面目で優しくて、授業態度も悪くない。


言い方を変えれば他の生徒に埋もれてしまうような生徒の1人だった。


教室への道のりを歩いていると、浩志と天真の後ろ姿を見つけた。


そう言えば浩志はあの後どうなったんだろう。


気になるけれど、夏斗が浩志に声をかけることは滅多にない。


目立つ行動は控えた方がいいだろうから、自分から声をかけることはできなかった。


あたしは少し早足になり、2人の隣に並んだ。


至近距離なら挨拶くらいしても自然だと思ったからだ。


「おはよう」


あたしがそう言うと、2人が同時にこちらを向いた。


その瞬間あたしは息を飲んでいた。


2人の顔はあちこち腫れて上がっているのだ。