一月六日

* *

年が明けて三学期が始まった。


「おはよう」


「おはよう!!冬休みどうだった?」


他のクラスでは、冬休みの話などで盛り上がっていたけど私達のクラスは静かだった。


理由は一つ

みんな転校して行った梶谷さんの告白が忘れられないでいたからだった。


こんな気持ちを抱えたまま楽しく冬休みを過ごせるはずがなかった。


それは雪村先生も同じ。


このクラスの中に沙耶を殺した犯人が三人もいる。そんな現実を受け止めるのと同時に大きな爆弾を梶谷さんは残して学校を去った。


このクラスはどのクラスよりも男女共に仲が良かったと思う。

でも今となっては…


男子全員は女子を疑って以前の様に関わったりしないようにしている。

梶谷さんが残したヒントで犯人が誰なのか一人だけ何となくわかっているからだ。


梶谷さんが言っていた犯人の三人の内の一人、それは尾崎さん。

あの日…梶谷さんが教室を出た後、体を震わせ怯えていたから。


そして始業式の今日、学校を欠席し、メールや電話にも出ない事から尾崎さんが三人の犯人内の一人である事が明確になった。


でも私は信じられなかった。

どうして尾崎さんが沙耶を?


理由が知りたい。


でも、この気持ちは私だけじゃないはずだと思う。尾崎さんは確かに控えめな性格で運動も苦手そうなイメージがあるけど、尾崎さんが沙耶を殺す動機が見つからない。


だけど梶谷さんが言っていたヒントに尾崎さんは当てはまってしまう。

何より学校を欠席してしまっているから認めたのと同じ。


「ったく、女って怖いよな。まさか尾崎が…。人は見かけに寄らずってこういう事を言うんだな」 


「おい!女子!いい加減に名乗り出ろよ」


この教室では完全に男子が糸を張り巡らせる様に支配していた


「誰が沙耶を殺した!白状しろ」


「人殺しと同じクラスとかマジ最悪」


「受験に響いたらどうしてくれんだよ!集中出来ねぇじゃねーか!!」


梶谷さんは少年法を理由に誰がどうして沙耶を殺したのか話さなかった。


だからクラスがバラバラだ。

疑心暗鬼。

心情も、全てがバラバラ…


言ってくれればこんな事には…


「みんなしっかりして!」