同日

* *

私の居場所は学校だった。

家に居場所なんてなかった。

疎外感しかなかった。


私の家は代々続く弁護士の家庭だったはずなんだけど、お父さんは司法試験に失敗して弁護士になれず市役所で公務員でお母さんは専業主婦。


そのため自分の失敗を私に押し付けるように幼い頃から将来は弁護士になるように勝手に期待されて成績で全てが評価されるのが私の家庭。


「何なのこの点数は!前より下がってるじゃない!これじゃあ弁護士になれないでしょう!!」


成績が少しでも下がるとお父さんからもお母さんからも罵声をあびせられ、毎日耳を塞ぐのが当たり前になってる。


だから、家に居場所なんてなかった。


学校だけが私の居場所だった。


クラスメイトからは私は大人しい女の子って認識されてると思う。


クラス替えの無いこの中学に入学した時、初めは話しかけてくる人もいたけど何を話したらいいか分からず自己紹介ぐらいしか出来なくて、話が続かないとわかったらどっかに行ってしまった。


それでも良かった。


進学校の私立中学校じゃなく普通の公立中学校成績で人を評価したりしない。


成績で友達を作ったりしなくていい。


蹴落とすとか考えなくてもいい。

自分のペースで良い。

なんて素晴らしいんだろう。


確かに成績が良いと周りから褒められたりするけれど私はそれを求めてない。

私を私として見てくれる。

それだけで良かった。

成績でどうこう言われる事のない安心できる学校生活。


私は学校が大好き。


一人の時間が多かったけど苦痛でも何でもなくて家にいるよりマシだった。


いつ頃だったかな?


「尾崎りなちゃん」


五月ぐらいに入った頃、私はクラスメイトの女子生徒から声をかけられた。


名前は沙耶ちゃん。


明るくて元気で私とは正反対。


沙耶ちゃんは私に声をかけてくれた。

隣には梶谷さんもいた。