「困ったことがあるなら、やっぱり年上に相談しなきゃね?日菜ちゃん」




ぞわってする色っぽい声…。

見上げると、拓弥くんの頭上でシェフスタイルの男の人がウインクした。


四宮暁(しのみやあき)さん。


キッチンを担当している大学生のお兄さんだ。

高い身長に、ラフに結んでいる明るい茶髪がよく似合っていて、キッチンにこもっているのがもったいないってくらいかっこいい。

もし榊くんや拓弥くんと一緒にホールに出たら…綺麗なお姉さんが毎日押しかけてきて、お店は今以上にてんてこまいになってしまうんだろうなぁ…。




「ちょっ、暁兄っ邪魔すんなよ!せっかく俺がはげましていたところなのに!」


「仲間思いなのはけっこうだけれど、拓弥くん、今休憩時間じゃないでしょ?」


「う…」


「いいの?早く戻らないと…美南ちゃんの怒りの鉄槌が…」


「あ、あ、暁兄だって休憩じゃないだろっ!」


「ふふ、声裏返ってるよ?俺は補充取りに来たついでだから大丈夫。
さぁ日菜ちゃん、拓弥くんは放っておいて、困ったことがあるのなら、お兄さんが相談に乗ってあげるよ?」