「杏っ! そこに毛虫」


「ヒィイ…っ!! ………って、あれ」



「ふっ。また騙されてんの」



またやられた……。



毎回“ヤツ”にウソをつかれ、なぜか騙される私、前崎 杏。


そして、その“ヤツ”は私の1つ年下の高校2年、渡部 快。




家から出て学校に行こうとしたとき、隣の家に住む快とばったり会った。



快とは、昔からの腐れ縁という仲なんだけど、高校生になった今でもウソやら、イタズラやら……。




毎回毎回引っかかる私もだけどさっ、



年下のくせして、背がすこーーーーしくらい高いからって、


上から見上げてくる憎ったらしい目がムカつく……。