それからあたしたちは2年A組の教室をどこまで再現できているのか、覚えている限りで見て回ることにした。


黒板の上にかけられている白い時計。


黒板の右下に書かれている日直の名前。


教室後方の壁に貼られているプリントやポスター類。


そのどれもが見覚えのあるものばかりで、見れば見るほど気分は悪くなっていった。


これほどまで忠実な教室を再現できる人物なんて、本当にごくわずかしかいないだろう。


机の中を見て見ると、砂川高校で使われている教科書がちゃんと入っていた。


「気味が悪い……」


有紀がそう言って身震いをした。


「あたしも。ねぇ、少し休もうよ」


あたしが声をかけると、教室の中を見て回っていた男子たちが教卓の方へと集まってきた。


千鶴は動くのが嫌だからと、教卓の椅子にずっと座っていた。


あたしと有紀が教卓の横に座ると、その隣に続が座った。


「いろいろ見て回ったけれど、俺たちがどうしてここへ集められたのかまではわからないな」


続の言葉に「そうだね」と、頷く。


続は机の中に入っていた教科書をめくって調べたりもしてくれていたけれど、犯人の手掛かりになるようなものはなにもなかったそうだ。