スピーカーが《リプレイ》の正確性を採点すると伝えても、みんなその場から動かなかった。


次の犠牲になるのが誰かは、もうわかっている。


続は机に座った拳を握りしめたまま、信一を見ようとしない。


千鶴は小さな声ですすり泣き、信一はその背中をさすっていた。


あたしは……1人、その光景を見ていた。


自分が死ぬとわかっているのに千鶴に優しくしている信一を見ていた。


時々「大丈夫だから」とか、「心配するな」とか、そんな言葉をかけている。


どうしてそこまで優しくできるんだろう。


人を好きになるということはそこまで強くなれると言う事なんだろうか?


あたしは続を見た。


あたしは続のためにどこまでできるんだろう?


自分の命を使って守ることはできる?


自分自身に聞いてみても、答えは見つからなかった。