あれからの稀美果は笑わなくなった。
必要最小限の事だけを話それ以外は何も喋ろうとはしなかった。
一週間が過ぎた水曜日、今日は朝から雨が降っていた。


雨の日は気分が余計滅入る……




放課後

「ねぇ稀美果、今日カラオケに行かない?」と碧に誘われた。

「カラオケ?」

「駅前に新しく出来てたんだ? 昨日割引券貰ったから、ねっ? 行こうよ!」


どうせ早く帰ってもあの人は仕事から帰っていないだろうし、別に私が遅く帰ろうがあの人は心配などしないだろう。愛情も何もないただの政略結婚なのだから…
私が何処で何をしようがあの人には関係ないことだ。


「うん。良いよ!」


そして碧とふたりで駅前へ歩いていると後から呼ぶ声が聞こえてきた。


「おーい!待ってくれよ!」と走ってきたのは波瀬川君だった。

「波瀬川君どうしたの?」

「今日はこの天気だから部活休みなんだ。で、ふたりが帰るの見えてさ走って来た。」

「ぅわー動物並みに鼻が聞くわ!」と碧が言う。

「なに?どっか行くのか?」と波瀬川君は私に聞く。

「うん。カラオケに行くとこ」

「じゃー俺も行く!」


そして3人でカラオケで楽しい時間を過ごした。


私にとって久し振りに楽しい時間だった。