大学に入学してもうすぐ一ヶ月がたとうとした頃、純が一人、大学の庭にあるベンチでボーッとしているのが見えた。


「純~っ!」


「あ、由茉。
久しぶりだな。大学慣れたか?」


「まぁね。友達もできたしね。
っていうかもう入学して1ヶ月だし、当たり前。」


「高校卒業してからなんかつまんねーよな。
大人に近づいてきて、悪さできねーっつーかさ。
湊なんて、もうすっかり大人だろ。
如月にいた頃とは別人だもんな。」


「ふふ、そうだね。
でもまた髪の毛染めてたし、湊もまだ子供でいたいんだと思うよ?
純だけだよ。こんな大人しいブラウンの髪の毛。」


「由茉は綺麗な茶髪だもんなー。
今は俺の方が暗いかもな。」


「どうしたの?テンション低いじゃん。」


「いや…なんかさ、如月引退して、俺ら学部も別々であんま会わねーじゃん?
そしたらなんか弱くなったっつーか…俺ケンカ弱いくせに今まで湊とか爽とか哉斗とか颯とか…あいつらがいたから強がってたっつーか…
一人じゃなんにもできねーんだなと思って。」


「なに、そんなことで悩んでたの?」


「由美とかさ、俺より全然ケンカ強いわけだよ。
まぁ俺も別に怖いとかそういうのはないんだけど、力もスピードも及ばなくて…」


「ばかだなぁ、純は。
そんなことで強さなんてわからないじゃん。

そんな弱々しくなってるとね、本当に弱くなっちゃうよ?
しっかりしてよね!」


だいたい純らしくないよ、全く。
もっとパーっとしてなきゃ。