ドアベルを鳴らすと、いつもの様にあの人の声がした。
「どこのどなた?」
低音気味の声は、若干中性的だ。
初めてこの家に伺った時も、津軽芽衣子の夫かと思ったくらいだ。
「出版社の小野寺です」
「おのでら?…さぁ誰だったかしら…?」
相変わらずな出迎え方にムッとする。
初めて電話をかけた時もそうだったが、この人はどうも人をからかって遊ぶ癖があるらしい。
「萌子さん、いい加減にして下さい!お客様と一緒なんですから早く開けてくれませんか!」
ドアに向かって怒鳴る俺をギョッとしながら最上来未は見ていた。
ドアの中にいる人は、ガチャリ…と鍵開けながら呟いた。
「ちぇっ、つまんない人ね〜」
毎度同じ言葉を吐きながらドアが開く。
中から顔を出したシルバーグレーヘアの女性は、トレードマークの銀縁丸眼鏡をかけていた。
その奥にある黒い目が素早く彼女の姿を捉えた。
「あら…」と小さく声を発し、大きくドアを開けて出てきた。
「貴女が芽衣ちゃんの大ファン?」
2オクターブくらい跳ね上がった声に、最上来未が一瞬息を飲んだ。
「は、はい…。あの……も、最上来未と申します…」
よほど狼狽えたのか、彼女は声を震わせながら自己紹介をした。
「…来未さん、そんなに緊張する必要はないよ。この人は津軽先生じゃないから」
そう説明する俺の腹をシルバーグレーヘアの女性が突いた。
「どこのどなた?」
低音気味の声は、若干中性的だ。
初めてこの家に伺った時も、津軽芽衣子の夫かと思ったくらいだ。
「出版社の小野寺です」
「おのでら?…さぁ誰だったかしら…?」
相変わらずな出迎え方にムッとする。
初めて電話をかけた時もそうだったが、この人はどうも人をからかって遊ぶ癖があるらしい。
「萌子さん、いい加減にして下さい!お客様と一緒なんですから早く開けてくれませんか!」
ドアに向かって怒鳴る俺をギョッとしながら最上来未は見ていた。
ドアの中にいる人は、ガチャリ…と鍵開けながら呟いた。
「ちぇっ、つまんない人ね〜」
毎度同じ言葉を吐きながらドアが開く。
中から顔を出したシルバーグレーヘアの女性は、トレードマークの銀縁丸眼鏡をかけていた。
その奥にある黒い目が素早く彼女の姿を捉えた。
「あら…」と小さく声を発し、大きくドアを開けて出てきた。
「貴女が芽衣ちゃんの大ファン?」
2オクターブくらい跳ね上がった声に、最上来未が一瞬息を飲んだ。
「は、はい…。あの……も、最上来未と申します…」
よほど狼狽えたのか、彼女は声を震わせながら自己紹介をした。
「…来未さん、そんなに緊張する必要はないよ。この人は津軽先生じゃないから」
そう説明する俺の腹をシルバーグレーヘアの女性が突いた。