「何があった?」


嵐ちゃんの後を追う様に部屋から出ると、店内にはさっきまでいなかった獅鷹メンバーが勢揃いしていた。



「今倉庫から連絡が入った」


倉庫から?


「Dが乗り込んできたらしい。数は数十人」


は?


「Dが!?乗り込み!?数十人!?」


煌の言葉に思わず驚愕の声が上げてしまった。


当然だ。

だって奴等は今さっき逃げたばかりなんだから。



「嘘でしょ……?」


まさかすぐに倉庫へ向かうだなんて……。


けど、


「それが鳳皇だけじゃねぇんだよ。鳳皇の傘下全部が襲撃された」


驚くのはまだ早かった。


「は?」


一瞬聞き間違えたのかと思った。


けど、直ぐにそうではないと悟った。


だって煌だけじゃなく、鳳皇、獅鷹の全員が険しい表情をしていたから。



「鳳皇だけじゃない。ウチもだ」


「え?」


「獅鷹の倉庫もほぼ同時刻に襲撃された。傘下もだ」


「獅鷹も?」


そんな、馬鹿な……。


貴兄の物言いからして冗談ではない事ぐらい直ぐに分かった。


だけど、とてもじゃないけど信じられなくて。


獅鷹もだなんてそんな事……。



「計画的犯行だな」


「……あぁ。奴等は煙幕弾を投げたにも関わらず遥を連れ去らなかった。となると、奴等の目的は最初から遥ではなく倉庫だったという事になる。

まぁ、遥の拉致は無理だと判断したからだとも考えられるけど」


目的が遥香さんではなく倉庫だった?