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遥香さんの家から十分程経った頃、見えてきたのは見知った景色。


その景色から察するに、どうやら遥香さんの家はあたしの家とは反対方向の場所にあったらしい。


と言うことは、十夜はあの辺に住んでるって事になる。


あたしって十夜の事何も知らないんだなぁ……。


十夜があたしの家へ来た事はあっても十夜の家には行った事ないし、家族構成も知らない。


もっと十夜の事知りたい。

十夜にもあたしの事知って欲しい。



遥香さんは幼馴染みなんだから十夜の事を知っているのは当然なんだ。

別に張り合う必要なんてない。


あたしはこれから少しずつ十夜の事を知っていけばいいんだ。


少しずつ、少しずつ。

十夜を知っていけばいい。


あたしと十夜はまだ歩き出したばかりなんだから。






「なんで……?」


一ヶ月ぶりの溜まり場。

車は倉庫の中へと入り、いつもの定位置で停まった。


窓にへばりついて外を見ると、視界に飛び込んできたのは鳳皇メンバーの姿。


ううん、鳳皇だけじゃない。


火皇や水皇、傘下の人達が勢揃いしていた。


なんで皆が……。