ルキの死体をそのままにして部屋を出ると、あたしは大きく深呼吸をした。


電流が流れた時の人の肌が焼ける匂いは、ものすごく不快だ。


あたしたち3人は毒ガス部屋で胃の中の物を全部出しきっていたが、それでも胃液はせりあがってきた。


「あと何部屋残ってるんだろう……」


部屋の外で数回えずいていた桃乃が顔を上げてそう呟いた。


あたしも翔吾もそれに答えられない。


「もしかして、全員死ぬまで続くとかじゃないよね!?」


桃乃が誰ともなく叫び声を上げる。


その気持ちはよくわかる。


先が見えない分、自分たちが本当に脱出できるのかどうかもわからない。


そんな保障、どこにもない。


もしかしたら、建物内で全員死んでしまうかもしれない。


あたしたちは《mother》に踊らされていうだけ……。


「それでも、行くしかないだろ」


翔吾が重たい口を開いてそう言った。