思いきり走った。

早く新太に会いたくて、私は息が上がるほど走った。

新太のマンションの前から、彼に電話をした。

指が震える。

『はい』

泣かないでおこうと思っていたのに、新太の柔らかな声を聞くと我慢できなかった。

「新太……っ」

新太は数秒の後、静かに言った。

『どこ?』

「新太のマンション」

『上がってきて。カギ開いてるから』

「うん」

怖かった。