ある日の月曜日の朝。
ある家で、一家の大黒柱のはずの父親が、自分の娘の前で情けない様を繰り広げていた。
「ひな~~、頼むよ~~」
今、目の前で膝をつき頭をペコペコしながら、娘の私に頼み事をしているお父さん。
とても情けない状態...。
私はといったら、仁王立ちで立ったまま、お父さんを見下ろしている。
早朝の6時に、こんなにも必死にしてくる頼み事がどんなものかと思ったら.....。
「お願いだからさ~、お父さんの高校に来てくれよ~。試験は無しでいいからさ~~」
「な?いいだろ?」と言い私に迫るこの人は、私のお父さん、山月雄哉(ヤマヅキ ユウヤ)。
36歳のおじさんだというのに20代そこそこに見えるのは、何かしらの秘訣があるのかないのか。
そして、このペコペコしている人の娘の私は、山月ひなの(ヤマヅキ ヒナノ)、15歳。
今年から高校生になるはずなんだけど、まだどこに行くか決めてないの。
だから、学校では担任の先生に、「早く決めて」と急かされているところ。
それで、お父さんの高校っていうのは、お父さんが理事長をやっている高校のこと。
つまり、今私は、お父さんから自分の高校に来てくれと頼まれているのです。
私がどこの高校に行くか迷っていたから.....。
....長いこと迷っていた私が悪いけど。