飛鳥は部室を出た零を追った。


「ちょっと零くん!どこ行くの?」

零は黙って歩く。そして飛鳥も零の雰囲気に臆してか黙る。


零はしばらくして立ち止まる。

「ここに来れば、各部の情報も分かるんじゃないかな?」


そこは図書室であった。


「いや、全国で実績のある部室の情報ならあるかも知れないけど、全部の部活は流石に無いかな…」


髪を弄りながら飛鳥は苦笑いで言う。



「強い部活だけで良いんだよ。強い部活はただそれだけで莫大な寄付金を得ているからな。強い部活は大抵OBが多いからだ。そしてプロや世界的に有名な人間を輩出していたら、さらに寄付金が増える。」


そう言って零は飛鳥の方を見て言う。

「手伝ってくれないかな?桜花先輩に認めてもらいたいんだ。俺の存在…俺の力をっ…!」



飛鳥は好きな零に頼まれた。好きな人に頼まれたら断りにくいのが人間という動物。



「しょうがないですね…。分かりました。手伝ってあげますっ。」


面倒くさそうに言うがその表情はイキイキとしていた。