▼変化



もうなにもかもいっぱいいっぱいで、頭がパンクしそうになっていた私は気づかなかった。










「瑠花」








すぐ後ろに息を切らした澪が来ていたことを。









「瑠花‥‥‥‥‥」






名前を呼ばれた瞬間、さっきまで溢れていた涙はピタリと止まった。




ていうか、見られたくなかった。




だってなんで泣いてるの?なんて言われればなんて言い訳すればわからないもん。






だから、







「っ、痛ぁ。はは、目にゴミが‥‥‥‥‥」





なんとも馬鹿馬鹿しい言い訳を口にしてしまった。







ははっ。と笑いながら目をグシグシと拭う私の隣に、澪が腰を下ろしたのがわかった。





それと同時に香る甘い香り。


今まで馬鹿みたいに気づかなかったけど、この香りきっと男物の香水な気がする。




いままで何も考えず生きてた私は、全然気づかなかったけど、自分の思いを自覚してから、澪に関して気付くことがたくさんある。






たとえば、横に座る澪の雰囲気がなんとなくいつもと違うとか。





見なくても分かる。




私たちの間で何かが変わろうとしている。