安倍家に着いた私たちは、それぞれの部屋に運ばれた。

勾陳が手当をしてくれたところは、布で巻かれている。

ぬらりひょんに見鬼の才が奪われてから、左目から見える景色は真っ暗な世界だった。

見鬼の才を半分失ったら、完全には妖の気配を探ることはできない。

(これじゃぁ、空の足手まといになるだけだ)

今回のことだって私の力不足のせいで空に大怪我を負わせてしまった。

(このまま、私は空の傍に居ていいのか……?)

この先、ぬらりひょんみたいな強い妖と戦うことになって、空が私のせいで命を落としてしまったら……。

それを考えるだけで、体が震える。

(今の私に、空にできることがあるとするなら……)

「うわぁぁ……!ぐっ……ああああー!」

その時、空の声が聞こえてきた。

「空!」

今勾陳が空の毒抜きを行っている。

空のところに行くために、体を起こそうとするが、体がだるくて起き上がれそうにない。

私は、自分の耳を抑える。

このまま空の声を聞き続けたら、空が死んでしまうんじゃないかって思った。

(空ごめん。私のせいで……)

本当にごめんなさい。